超絶技巧! 日本を代表する画家“池田学”の不思議な世界観

今回は、1㎜以下の細い線で繊細かつ壮大な絵を描く日本人のアーティスト“池田 学(いけだ まなぶ)”さんを紹介します。

自分の過去、日常生活、歴史、自然、異国での旅など、様々な体験や思いをテーマに、丸ペンとカラーインクを用いてひとつひとつ描きあげ、緻密過ぎるその作業は、細かいものを描きたいからというわけではなく、壮大なスケールのものを作り出すための情報や手段に過ぎない、と池田さんは述べています。
その不思議な世界観を、ぜひお楽しみください。

誕生(2013-2016)300×400cm
興亡史(2006) 200×200cm
方舟(2005)89.5×130.5cm
漂流者(2013)61×61cm

作品サイズを確認していただければわかるように、非常に大きな作品です。
下絵は描かずイメージしながら緻密に描いていくため、1日(8時間)に描けるのは10センチメートル四方ほどだそうです。長いものでは3年ほどの歳月をかけて完成させます。

佐賀県生まれの池田さんは、東京藝術大学美術学部デザイン科卒、東京藝術大学大学院修士課程修了、と芸術について多くのことを学んできました。卒業後は、文化庁芸術家在外研修員としてカナダ・バンクーバーに滞在し、現在はアメリカ・ウィスコンシン州にあるチェゼン美術館で滞在制作を行なっています。

厳ノ王(1998)卒業制作

池田さんの手がける緻密で個性的な作品のスタイルは、2つの要素から成り立っているようです。

1つ目は、「癖」です。
子供の時から、小さなものの中に大きな世界を見たり想像したり、という癖を持っていました。例えば、机の穴を眺めてその向こうにある小さな街を想像してみたり、ペットボトルの水の上に船を浮かばせたらと想像してみたり。その穴やペットボトルは、手に収まるとても小さなものですが、視点を変えるだけで、そこには大きな世界が広がっています。作品も、木という小さな単体を一本一本緻密に描いていくことで、最終的には、山のようなスケールの大きなものになる、まさに小さいものから大きなものを想像し作りあげていく、というイメージなのです。

2つ目は、若い時に必死で練習したデッサンです。
どれだけ良い発想をもっていても、表現したいものがどれだけ頭の中に浮かんでいても、それをアウトプットできる技術がなければ意味がありません。スポーツ選手が筋トレを欠かさないように、池田さんも数えきれない程のデッサンを描いてきました。そのデッサンで身に付いた技術によって、自分の持っているユニークな世界観を表現することができているのです。

Meltdown(2013)122×122cm
氷流(2009)35×45cm
存在(2004)145×205cm
予兆(2008)190×340cm

池田さんは自分の描いた絵を、細密ではあるが細密画ではないと述べています。細密画とは、どう描いたかわからないほど細かいものですが、池田さんの絵は近くで見ると、ペンで描いた線やタッチが分かるからです。
木のように細かく緻密な部分と、山のように壮大なスケールの全体像、どちらも楽しむことができる池田さん絵は、きっと1度見たら忘れることができない作品になるでしょう。

上記の画集は自選100点を収録した、画業20年記念の決定版。部分拡大を多数掲載し、実作品では把握しきれない細部まで堪能できます。
作品を直接見に行けないという方にオススメです。

こちらは東日本大震災の悲しみや絶望から描き始めた「誕生」について、絵の細部から過程まで徹底解説している良書です。
拡大図も収録されています。


池田 学

池田 学
HP : https://ikedamag.exblog.jp

Reference : cinra.netMizuma Art

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