「無」から描き出す「美」。世界的人気アーティスト、“ジュリアン・オピー”

イギリスの現代アーティスト、ジュリアン・オピー(Julian Opie)をご存知でしょうか。
シンプルな肖像画を手がけることで知られ、ユニクロのTシャツや、イギリスのバンド「Blur」のCDジャケットなど、様々なブランドとコラボレーションをしたことがある世界的人気アーティストです。
今回は、そんな彼について迫っていきましょう。

ジュリアン・オピー(2005)自画像


作家略歴 & 作品

彼は1958年、イギリス・ロンドンで生まれ、オックスフォードで育ちました。
79年には、ファインアートの名門で多くのアーティストを輩出しているゴールドスミス・カレッジに入学。そこで、名誉教授であり、画家でコンセプチュアル・アーティストとしても活躍する、マイケル・クレイグ・マーティン(Michael Craig-Martin)に教わり、芸術家としての基盤を築いていきます。
卒業した83年には、イギリスの老舗画廊リッソン・ギャラリーで行われたグループ展に、キース・へリングやアニッシュ・カプーアの大御所たちと混ざり作品が展示されるなど、早くもその頭角を現し、新たな可能性を切り開いた作家の1人として注目されました。

そんな彼の代名詞的作品が、太い輪郭線で描かれる作品です。

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太い輪郭線と少ない色数が特徴のポートレート作品。モデルとなっている人の目は、点のみで無表情に近いですが、どこか個性を感じさせます。

描かれているのはどれも実在する人物で、ライターや歌手、ドライバーなど、様々な業種の人たちが選ばれました。

さらに抽象的にした、ピクトグラムのような作品も制作しています。

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先程の作品とは違い、顔は円のみで、体も多くが省略されて描かれています。しかしモデルからは、どういう気持ちでそのポーズをしているのかが感じられ、背景色は、その人物のイメージや個性を表しているかのようです。

下のスライダーは、人物を画面に収めることをやめ、背景色すら無くしてしまった作品です。

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画面一杯にモデルの体を描く大胆な構図です。しかし、どの画面をとってみても、他の部位がどういうポーズをとっているのかが想像でき、見えないパーツが見える、不思議でユニークな作品となっています。
情報を極限まで少なくしていますが、洗練された「美」がそこにはあります。

彼は、自身の作品について次のように述べています。
私の作品はミニマリズムとか、シンプル化とよく言われますが、実は逆の視点から始めています。複雑なものをシンプルにするという感じではなく、何もないところから表現に必要な最低限のものを少しずつ足していくのです。

彼の作品は省略から生まれるのではなく「無」から生み出されていたのです。

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こうした彼の作品は、実は日本からの影響が大きく、歌川広重らの浮世絵やスタジオジブリのアニメなどからきているそうです。浮世絵やアニメの制作過程に描かれるセル画のコレクターであるとも語っています。
それらからは、「動きのある肖像画」を学んだといい、ストーリーの一瞬を捉えたような表現に挑戦しています。

この「動き」というのは彼の中での重要なテーマの一つであり、LEDを用いて動きある作品も制作しています。

LEDによる作品について彼はこう語っています。
LEDは今や、都市の言語のような存在になっています。特徴的で好まれる一方、少し嫌悪感を持たれるものでもあります。それは当然でしょう。LEDというのは『権力の言語』ですから。『止まれ』というLEDの標識を見れば、人は止まります。ところが、それがチョークで書いてあったら多くの人は無視するでしょう。ほこりの上からなぞって『止まれ』と書いてあったら、踏みつけて通るでしょう。でもLEDで書いてあると、『おっ、重要なんだ』と感じます。これはLEDが持つ面白い特性です。こうした標識やピクトグラムのようなシンボルの造形、ハイテク、それに詩的要素のコンビネーションが好きで、その中で私は、人が普段予期しているものとは違ったものを提供したいと考えています。

LED作品は、日本の電通本社ビルでも展示されました。

歩いて仕事に行く夢を見た(2002)


展覧会

そんな彼は今年、東京オペラシティ アートギャラリーにて大規模な個展を開催します。(会期:7月10日〜9月23日)
日本での個展は、2008年の水戸芸術館以来11年ぶりで、詳細は現在発表されていませんが、大きな注目となるでしょう。


画集

会期が近づくと画集が品薄状態になることが予想されます。一早く手に入れて予習しておくのもいいかもしれません。
今回紹介しきれなかった多くの作品が掲載されており、ジュリアン・オピーをもっと知ることができます。

「無」から生み出されるジュリアン・オピーによる「美」。
独自のスタイルを確立し、一つの表現方法に縛られないその思想と作品には、彼の日々の進化が垣間見れます。

ジュリアン・オピー(Julian Opie)

Julian Opie
HP : https://www.julianopie.com

Reference : Lisson Gallery美術手帖
電通ウェブサイトArtists’ Processes

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