主と従の逆転。既成概念を根本から破壊する情熱の芸術家“桝本桂子”

陶芸や器は、誰もが形をイメージできるほど認知されていますが、桝本さんが作る器を見ると、「器なのか、器じゃないのか」、そんな疑問が湧いてくるでしょう。詳しい知識が無くても、見てすぐ理解できるユーモア溢れる作品です。

kegani/pot(2017)
octopus/vase(2011)
snake/meiping vase(2013)

毛ガニやタコ、そして蛇までもが飛び出している作品。どれも異様なオーラを放っていると同時に、その不思議な光景に釘付けになる方もいるのではないでしょうか。
陶芸家として活躍する、桝本桂子(ますもと けいこ)さんは、こうした既存の陶芸ではありえないような組み合わせと、本来は描かれる絵柄が立体となり壷から飛び出した、ユーモラスな作品を手がけます。

日本美術の代表的存在である器には、すでに評価の基準という“ものさし”が存在していますが、桝本さんの器は、そのような既存の基準やルールに縛られず自由に解釈し、主体の器に従属する装飾という主と従の関係性を逆転させています。さらには器であることも放棄して、使用用途が無く飾られるだけのものであるという、彫刻作品とも受け取れます。

この奇想天外な発想は、江戸初期の釜師、大西浄清が作った「鶴ノ釜」に触発されて生まれました。

大西浄清による「鶴ノ釜」

この作品を見た時、もうこれはほとんど鶴だと思いました。装飾というのはあくまで主体である器の付属物ですが、この作品はその関係性を壊しているように見えました。ここで、装飾物の鶴は、過激な色遣いやリアリティで存在を主張するのではなく、鉄で作られたひとつの造形として自然に存在していました。自然に、激しく主張していました。この作品の鶴を更に激しく主張させたらどうなるか、面白くなるに違いないと思ったのです。」と、語っています。

space shattle/vase(2014)
saturn/pot(2014)
radish/pot(2010)
fan/pot(2010)
pagoda/pot(2008)

2007年に京都市立芸術大学大学院で陶磁器専攻を修了した後に、ゲストアーティストとしてアメリカ・フィラデルフィア芸術大学での海外生活を経験し、神戸芸術工科大学では陶芸コース実習助手として指導もしていました。
また、在学中の2004年に「京都市立芸術大学陶磁器専攻 陶7人展」(クラフトギャラリー集・京都)のグループ展に参加すると、第22回 美術の中のかたちー手で見る造形 桝本佳子展 「やきもの変化(兵庫県立美術館)」といった展示も行なっています。

自らがキュレーションしたグループ展「トンネルビジョン」では、各作家の作品がベストに見えるように配置することをあえてせずに、鑑賞しにくいように配置したり、音の出る作品同士を並べたりして、既存の基準やルールから逸脱することがテーマでした。

見た目は面白く笑ってしまうような作品ばかりですが、そこには、いろんな人に見てもらいたいというメッセージ、そして身近な陶芸品に対しての桝本さんの思いが現れています。

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桝本 桂子
HP : http://keikomasumoto.main.jp

Reference : atpress村越画廊

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