世界から電気が消えたなら。現実にはない第三世界を映し出す “ティエリー・コーエン”

フランスの写真家、ティエリー・コーエン(Thierry Cohen)は電気がなくなった世界を映し出す写真家として知られています。

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人工的な灯りの無い自然の光だけでぼんやりと浮かぶダークで深遠な街並みは、人間の気配のしない無機質な静寂を生み出しています。都会の夜の風景と満点の星空。静かに佇む街はどこか優しさを感じさせ、慌ただしく喧騒の中で日々を過ごす私達には癒しさえも与えます。

デジタルカメラやスマホやタブレットの普及によって、誰でも簡単に写真を撮ることができるようになり、画像編集ソフトやアプリで例え経験が浅くても、プロフェッショナルの写真家のような写真に加工することが可能となりました。そのようなデジタル写真の隆盛を築いたパイオニアの1人が彼です。
1963年にフランスのパリに生まれ、1985年にプロの写真家としてのキャリアをスタートしています。他の誰にも似ていないオリジナリティに溢れた写真で、特に2010年からは今回紹介している「Villes Enteintes」(暗い都市)」シリーズを展開しています。

「Villes Enteintes」(暗い都市)」は世界各国の夜の都市を星空が覆っている詩的な写真で、実際には存在しない合成写真です。
Day for Nightといわれているその技法は、昼間に撮影したものに夜の写真をシミュレートする映画技法です。都市が明るいうちに写真を撮影して、それとは別に撮影した星空の写真と合成します。例えば、New Yorkの街の昼間の風景とサハラ砂漠の星空を1枚の写真で表現するといったものです。月明かりは実際には青色ではありませんが、明るい時と暗い時で色の見え方が変わるプルキンエ効果のために青みがかって見えています。

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彼は8つの小説の著者でもあります。彼の親友の自殺から書かれた小説は、ベストセラーとなりフランスで190000部以上のセールスを記録し、20カ国以上で翻訳されています。ティエリー・コーエンが書く小説は、彼の写真のように芸術的というだけではなく、神秘主義を含んだ現実を柱として、芸術の都パリ出身の彼ならではのとてもエモーショナルなものです。写真だけではなく、小説でも才能を発揮している多彩な人物です。

デジタル写真は誰でも簡単に撮影することが可能で、プロの写真並みのハイクオリティな仕上がりになります。ただその分、オリジナリティが失われてしまうことは避けられません。他の誰にも似ていない完全にオリジナルで尚且つ本当に心に響く写真というのは、作者のスキルやセンス以上に、作者自身の溢れる感情や情熱が込められます。この点で彼は卓越したアーティストだといるでしょう。

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Thierry Cohen
HP : https://thierrycohen.com
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Reference : DanzigergalleryThierry Cohen

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